知的資源とは、人々が世界をどのように理解し、価値づけるかを支える思考の基盤です。
それはまだ体系化や基準化には至っていないものの、地域や共同体で共有される感覚・言葉・理念として存在し、人々の判断や表現の方向を支えています。
こうした共有の思考枠組みが、文化を貫く下層を形づくっています。
知的資源は、以下のような特徴を持ちます。
知的資源は、次のような構成要素によって形成されます。
それぞれが整理・共有・再現可能な形式へと高められるとき、知の力(真・善・美の道標)へと転化します。
| 事例 | 知的資源の要素 | 知の力への転化 |
| 地域方言や言い習わし | 生活文化に根づく独自の語彙や表現 | 文化的アイデンティティや表現様式として整備される(例:方言文学、地域ブランド言語) |
| 伝統的物語や伝承 | 英雄譚、由来譚、民話 | 地域ストーリーや観光コンセプトとして再構築される |
| 思想や哲学の断片 | 倫理・自然観・人間観 | まちづくりや教育ビジョンとして制度化される |
| 構想や試作モデル | プロジェクトの構想段階での設計思想 | モデル化・標準化され、デザイン体系に発展 |
| 象徴・記号体系 | 紋章・デザイン・ネーミング・建築意匠 | クリエイティブガイドラインやハウスコードとして体系化される |
知的資源は、具体的な行為や場所から抽象化された「見方・考え方・判断基準」です。同じ対象でも、「どう動くか」ではなく「どう意味づけるか・何を良しとするか」が語られているとき、それは知的資源として扱います。
知的資源の段階では、価値観や世界観はまだ部分的で、共有のモデルとして整理されていません。「いくつかの人が似たように感じている/考えている」レベルのものも含まれます。
これが「共通の判断基準として意識的に使われ、その前提で企画や運営が行われる」段階になったとき、知の力として認定されます。